旧前田家本邸（目黒区）

旧前田家本邸のある場所一帯には明治11（1878）年設立以来、駒場農学校がありました。
その後、東京帝国大学農学部となり、本郷（文京区弥生）へ移転し跡地には逆にそれまで本郷に屋敷を構えていた旧加賀藩主の前田家が第一高等学校（現在の東京大学教養学部）、東京農業教育専門学校（東京教育大学農学部、現在の筑波移転跡地）とともに移ってきました。
第二次世界大戦中に前田利為侯爵は戦死し、私人の手に渡り、終戦とともに占領軍に接収されました。
昭和32（1957）年10月に接収が解除されるまでの12年間は、連合軍司令官の官邸などとして使われました。
現在の駒場公園は、昭和42（1967）年に東京都が公園として開園したもので、昭和50（1975）年4月から目黒区に移管されました。
留学や駐在武官としてヨーロッパ滞在の長かった前田利為爵は、駒場本邸（洋館）を内外の客をもてなすにふさわしい邸宅として、昭和4（1929）年に竣工しましたが、当主一家の住居でもありました。設計は高橋貞太郎です。鉄筋コンクリート造地上2階・地下1階建で、当時最新の設備を取り入れる一方、外観はイギリス貴族の館であるカントリー・ハウス風の意匠とし、伝統的で重厚なイギリスのチューダー様式でまとめています。外装は石川県小松市産の凝灰岩である大華石（たいかせき）やスクラッチタイルで装飾されています。第二次世界大戦中に前田侯爵が戦死し、戦後は一時期連合国軍 GHQが司令官の事務所などとして使用しましたが、内外部とも創建時の状態を良く留めています。隣にある和館とは、外廊下でつながっています。
和館は外国からの客に日本文化を伝えるために、昭和5年（1930）に竣工した木造2階建の近代和風建築で、迎賓のほか、前田家の四季折々の行事にも利用されました。外観は、玄関側の北面は破風屋根が重なる重厚な意匠とし、庭側の南面は京都の銀閣寺を思わせる姿となっています。内部は畳敷きの大廊下や広い続き間のほか茶室も設けられています。設計は、佐々木岩次郎で、茶室は三代目木村清兵衛によるものです。隣接する洋館とは渡廊下でつながっています。戦後は一時期、連合国軍GHQ司令官の住宅などに使用されましたが、内外ともに創建時の状態を良く留めています。
洋館、和館ともに平成25（2013）年8月7日、国の重要文化財（建造物）に指定されています。


開園時間
　9:00~16:30
休園日
　月曜日（月曜日が祝日の場合はその翌日）
　12月29日〜1月3日
和館開館時間
　9:00~16:00
洋館開館時間
　9:00~16:00
和館休館日：月曜日
（月曜日が祝日の場合はその翌日）
　12月28日〜1月4日
洋館休館日：月曜日・火曜日（祝日の場合は開館）
（公園・洋館・和館ともに入場無料。ただし、日本近代文学館は有料）、

Photo　Canon EOS 5D Mark Ⅳ
R5.9.17
住所: 東京都目黒区駒場4-3-55