アルテガGTであります。
最近いろんな雑誌に取り上げられているので、ご存知の方も多いかもしれませんが、ドイツ製のミッドシップスポーツカーです。
エンジンはフォルクスワーゲンのVR6、V6 3・6リットルエンジンをミッドシップに横置きで搭載し、2ペダルMTのDSG6速と組み合わされています。
フレームはアルミスペースフレーム。
↑ Artega Japan提供
アルミの薄板で作ったBOXをリベットでとめたようなちゃちなものではなく、めちゃくちゃ本格的なフレーム構造になっています。
以前から「乗ってね~~っ」て言われていたのですが、なかなかチャンスがなかったのですが(ボクの不精により)、今回たまたま仲間内でエビスサーキットでやっている走行会に乗って行けることになったのでした。
ところが今回は、なぜか参加者がめちゃめちゃ多くて、いつもはのんびりな走行会なのですが、超忙しく、全然写真を撮る時間がありませんでした。
クルマのほうは、基本ボクの運転で同乗走行やりまくり。興が乗ってドリフトしまくり。
ウッキーさんてこんなキャラだったんですか?
なんて本性がばれてしまったのでした(別に隠してたわけでもないんですけど)。
それにしてもびっくりしたのは、その素姓の良さです。
フレームはガチッとしており、ジネッタやロータス系の超ライトウエイトのフレームワークというよりは、ランボルギーニガヤルドや、アウディR8に近いのもので(いやいや大げさでなく)、ちょっとびっくりしたのでした。
最低地上高124mmと、案外ロードクリアランスに余裕があります。車高が高いんじゃないの? という気もする(ちなみに全高は1180mmと低いです)のですが、これもたぶん意図的にそのような地上高≒重心高にしているようなのです。
これは乗った印象からの類推なのですが、
重心を高くすると前後左右への荷重移動がやりやすくなります。
たぶん、特に前輪に荷重を乗せやすくするためにそうしているのだろうと思います。
ロールセンターを下げることでも荷重移動のしやすさは作れますが、これをやると重心を低くしたとき、ロールセンターがさらに下がってしまうので、足回りの動きが悪くなってしまうのです。つまり、さらなるステップアップセッティングには向かないということです。
アルテガは、たぶん車高を落としてさらに旋回性能を高めるスパルタンなセッティングまで見越して作られているんだと思います。
街乗りでのロードクリアランスの余裕が作りだす走りやすさや扱いやすさを確保したうえで、
そのままサーキットに持ち込んでも、運転の基本さえ知っていればちゃんと走ることができるように作られているのでしょう。
重心が高ければ荷重移動量が大きくなるので、場合によっては移動量が大きくなりすぎることになります。そのあたりはダンパーやスタビライザー、スプリングのセッティングになるのだと思いますが、これも上手にセットされ過大な荷重移動が抑えられています。
コーナーの入り口で一気にリヤをスライド状態に持ち込み、コーナーにクルマを放り込むような走り方(ドリフトのやり方)だと、さすがに荷重移動量が過大になってリヤのスライドやフロントの巻き込みが大きく速くなって、操作が忙しくなりますが、コーナー入り口で、ヨーをあまり強く出さないように入ってやると、きれいに旋回に入って行けます。このときフロントがしっかりと路面をとらえてくれ、ミッドシップカー独特のフロントの接地荷重の低さは意識させられません。
旋回状態からアクセルをいったん戻してやると適度なタックイン状態となりリヤをスライドさせるきっかけが作れます。
重心が低いと、荷重移動を適切に行うのが難しくなります。また前後タイヤのグリップバランスが取れるスイートスポットも狭くなるんです。
アルテガの設計者はこうしたクルマの特性をじつによく知っていて、周到にクルマを設計し、セッティングしているのでしょう。
それが、いろんな走らせ方をするにつけ、期待通りの、あるいはナルホドとうなづけるような車の動きが出るんです。
重心が高く、荷重移動量が大きめと書いたので誤解を受けるかも知れませんが、乗っていると乗り味は堅めです。普通の乗用車のサスペンションから比べるとかなりハードというかスパルタンです。
ダンパーはビルシュタインのねじ式車高調正式ダンパー+アイバッハのスプリングで、いわゆる車高調サスが装着されています。だから一般的な乗用車よりもずっとサスストロークが短いんです。
そんなわけなので、街中をコンフォートに走るのは難しいです。
でも、高速道路を走らせると驚くほどフラットな乗り心地でびっくりします。
このあたりもボディ剛性が高く、サスペンション(アームを含む)が設計値通りに動いているのでしょう。
そうそう、アルテガGTはアンダーフロアがフラットな、フラッとボトムカーなので、高速での安定感がとてもいいんです。100キロくらいで走っていても十分にフロアが路面側に吸いついているような安定感があり、クルマの姿勢もピタッと安定してくれます。
ちなみに東京→二本松 二本松→東京の行程は、それぞれノンストップでも全然問題なし。やせ我慢でなく、腰も痛くならなければ、尻の肉も痛くならないという事実にも、驚かされてしまいました。
価格が1100万円と高価なのですが、クルマの作りはそれを十分に納得させるだけの作りこみがなされています。この価格帯のクルマが買える全ての人にお勧めするタイプのクルマではないと思いますが、走りの価値を知る機会があれば、オーナーとなった人はさらに深い満足感が得られる車だと思います。
Posted at 2012/04/22 14:14:27 | |
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クルマ | 日記