徳川斉昭・慶喜も利用した「旧取手宿本陣 染野家住宅」。

江戸時代の参勤交代で、

大名の宿泊や休憩に使われた本陣

「旧取手宿本陣 染野家住宅」。




染野家は代々

取手宿の名主を務めた家柄で

貞享4（1687）年に水戸徳川家から本陣に指定されました。





水戸街道沿いに残る本陣建築はこのほかに、

土浦市「中貫宿」と


かすみがうら市「稲吉宿」の計３棟のみ。






1795年建築の染野家住宅は

最古かつ最大規模を誇っています。





入り母屋造りと呼ばれる伝統的な建物は、

取手宿の名主だった染野家が自宅としても使用。



建物の左半分が

水戸徳川家の本陣として使用されていました。



主屋正面玄関には

大名らがかごを横付けした「式台」。



かつての

染野家自宅部分が

入口になっています。





足を踏み入れると、

そこは「土間」。

















奥は「ちゃのま」。


「ちゃのま」から「ひろま」を見る。


明治時代のガラスは

ユラユラしていて、いい雰囲気。




「なかなんど」。






突然ですが、ここで問題。

下の2つの写真のうち

どちらが「弓掛け」で

どちらが「槍掛け」でせふか。





（こたへ）
頑丈に作られた上の写真が「槍掛け」。
華奢な下の写真が「弓掛け」。重さの違いですね。




「ひろま」。


15分くらい、解体修理の過程を

ビデオで見せていただきました。



「ひろま」の横、

「土間」から「玄関」へ通じる廊下部分には

明治時代の「郵便局」の名残が...。






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さぁて、染野家の「民家」部分を見た後は

いよいよ

本陣の核心部、

染野家の「武家」部分を見てみましょう!

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「ひろま」を抜けて「なかのま」へ。


板戸の張り紙をアップ!


「なかのま」のしつらえ。







部屋の格が上がっていくのが

はっきりとわかります。


「なかのま」を抜けて

「三の間」「二の間」。


（「三の間」から「二の間」を見る。美しい）



そして、

最奥には

大名が使った「上段の間」。




ここに、斉昭さんや

慶喜さんがいたんだなぁ～。と、しみじみ。




上段の間の床はほかの部屋より

約20センチ高く作られています。


そして、当然、

くせ者対策も万全。


床の間の板は、跳ね上げて床下に逃げ込める仕組みです。


天井と床下には

家来が隠れてしっかりと警護。


床下には木の枠格子がはめられ、

下から侵入できないようになっています。









敷地内の裏山には、

水戸藩九代藩主・徳川斉昭が1843年、

染野家に贈った歌碑があります。



途中、ムクの巨木。


（遠くから）






歌碑には斉昭が詠んだ和歌が刻まれています。

「指して行　さほのとりての　渡し舟　おもふかたへは　とくつきにけり」。



奥には、「稲荷大明神」。



土間脇の「中門」をくぐり。






かつては、厩が連なり

糞置き場もありました。


「民家」部の裏庭。





最後に、印象深いエピソードをひとつ。


江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜は、

この本陣を5 回利用しています。


江戸城無血開城の翌日、

慶応4（1868）年 4月12日、

取手宿本陣に立ち寄った慶喜は、

式台玄関にかごを横付けにせず、

表門でかごを降り

草履に履き替えて式台まで歩いた、

と伝えられています。



（明治維新後も、
慶喜は何度か取手の地を訪れているようです。
明治31（1898）年には、
弟であり最後の水戸藩主となった徳川昭武とともに
稲村で狩猟を楽しんでいます。
その後も、藤代や布施村（柏市布施）辺りなど
取手周辺で狩猟しています）