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３月は別れの季節だ
この前は私の直属の上司が退職し 先日は私の同僚が異動となった

もちろん来月になれば その２人のかわりの人がやってくる

その人達も元の部署での別れを行いやって来る訳だが

10日程前である
今回異動する同僚が信じられない事を言った

★★さんわかるだろ？

もちろん私はわかる あの震災の時にウチの部署にきていた人だ

★★さん…亡くなったんだと……

は？またまたぁ！悪い冗談はよしなよ……

いや本当らしいよ…
出勤してすぐ 倒れてそのまま………

私は余りの衝撃を受けて言葉を失った
★★さん……
私よりも年上の方だ
家族全員をあの津波で失い 今はアパートに住んでいた

震災後 暫くは私のいる部署にいたが 去年に異動となった

顔を見る機会は激減したが 元気にやっていると聞いていた
しかし…今回の突然の訃報

やはり我々他人には計り知れないストレスと悲しみが 彼を蝕んでいたのかも知れない

黒いメガネと赤いスニーカーがトレードマークだった……

あの上司も異動した同僚も 会おうと思えば会える！しかし
この方にはもう会う事も話す事も出来ない

声だってもはや記憶の中でしか聴く事が出来ない

50歳……

まだ働き盛り

これから人生の再スタートという時に…病魔が襲った…

私はそれを聞いた時
脱力感 無力感 虚無感に襲われた………
その日は仕事もはかどらなかった

この世に寿命を司る神様がいるならば

自殺したいけど出来ないから…だから！人を沢山殺して死刑にして貰いたいから

そういう理由で無差別殺人をするような腐れきった外道が のうのうと生きて 悲しみを乗り越えて人生の再スタートをきろうと言う人の命と魂をあっさり刈り取る……

なぜなのだ………
あまりにも…………

私に初めてボーカロイドを教えてくれた張本人
(CDとDVDを無償で貸してくれた)

会社の同僚が 何と我々の元を去るという

この間の上司は別に居なくなってもいいが ううむ…これで会社でミクミク談義をする人がいなくなってしまった……

去るとはいえ会社を辞める訳ではなく 違う部署に異動という形だ
しかし 部署が違うとなかなか話す機会がないのが私の勤めるｼｬﾄﾞｰ&ﾃﾞｨｰﾌﾟ㈱の実情だ

この人は車も大好きで 私と長時間車談義をしたりした

スカイラインやランサー
ＲＸ-７などに乗った事もある人だ
今は大人しい車に乗ってはいるが まだ熱い魂は持っている

かなり詳しい人で 話していても楽しい！
周りにも車が好きな人はいるが この人程詳しい訳ではない…私とも話が合った

本当に残念だ

まぁ それが人の世だ

辞める訳ではないから 何かの機会には会えるだろう

その時にはまたミクミク談義と熱い車談義に花を咲かせたいものだ

また会おう

会社には色んなお客さんが来たりする

その日は混んでいた
駐車場も満車状態である

私は同僚らと一息ついていた 私はタバコを吸わないが同僚たちは吸う

今は社屋内ではタバコは厳禁である

さて……
１台の白いインプレッサWRXがやって来た フルスモークに近い真っ黒な窓だ

車体も低めである

マフラーも当然変わっている 乾いた排気音が響く
ドロドロドロとスバル命の方々からしたらたまらん音である

バックで駐車とあいなる訳だが なかなか決まらない

ドルルオオン！ドロオオン！とアクセルをあおりながら微速で下がろうとするが…狭いのだろうか

そして車体がきちっと真っ直ぐになったんだろう
一気にバックした
後ろには車とめがあるから後方の壁にぶつかる事はない

ベギィ！

え！？

その瞬間……
真っ白なインプレッサはみるみる凍りついたように感じた

運転手が慌ててドアを開けて出てきた

あああぁぁ！まじかよお～！

運転手が絶叫した……
そこは数ある駐車スペースの中でも…唯一鉄柱がある場所 無論きちんと後方を確認すれば何ら問題はないのだが…

彼は我々の存在に気がついた 目があってしまった

バツが悪そうに 彼はそそくさと車に乗り込み去って行った

確かにその鉄柱のせいで少しスペースも狭くなっていて とめたくない人もいるだろうな…

インプレッサの人は路駐していた…

するとまた車が来た
あの場所にとめようというのか
車はホンダCR-V！しかも新型だ！
明らかにインプレッサよりも長さ幅ともに大きい！

大丈夫なのか……？

CR-Vはあっさりとめた
一発で！
そして降りてきたのは
茶髪ロングのおねーさん…

車は銀だったが彼女はかなり目立つ
ブーツの足音を響かせで行った

我々はあっけにとられていた…新型なのに もう手足のように乗りこなしている

侮れぬ……

会いたくもない奴に会わねばならない……
全くもって気が重いものだよ

学生の頃にいたそいつは…キャラクター的にはスネ夫と思っていい
相違点は実家は大金持ち！
ではなく小金持ち…

みんながまだ持っていない時にすでに所有している
そして自慢する！

格上の相手には媚びへつらい 自分より格下と判断したら横柄な態度をとる

まさにスネ夫だ

私は残念ながら格下に見られてしまった……

しかしそれが災いし
みんなに袋叩きにあって泣いて家に逃げ帰ったりしたり………

何年ぶりだろうか？もはや最後に会ったのがいつなのか もはや思い出せないくらいだ

駐車場に１台の外車がやって来た
アウディだな
相変わらず派手好きなやつだ……

またあのツラを拝まねばならないのかと思うと……
気が重い
救いは私と２人で会う訳ではなく 地元の同級生数人がいる事だな

誰だよコイツも呼んだのは！？と……心の叫びがこだまする

こいつは普段は首都圏のとある市にいる 有名人とお近づきになれる事もあったりする訳だな！

自慢話が始まる
★★と会えた！とか
〇〇と握手したよ！とか…
しはらくして解散となり
そいつはアウディＡ６を自慢気にみせびらかし 帰って行った

１人がつぶやく
何オリンピックみたいなマークの車に乗ってんだよ……

車に全く興味のない人には効果が無かった
次は…あいつ呼ばねーぞ？

誰かが言う
誰も異論はなかった……
リアルスネ夫……
嫌われること請け合いである

昨日ようやく我が愛車を洗う事が出来た！

うむ…真っ黒になった
洗うのは楽だった
当然泥汚れもあったのだが 大半は花粉と黄砂

泥のようにベッタリと車体にこびりつくものではなく 表面上にうっすらと積もる感じだ

高圧洗浄機でバンバン水をぶっかければ 簡単に落ちるもの

あとは０水を吹きかけながら水を拭き取る
左隣にはシルバーのベンツ…右隣には真っ黒なヴァンガード！
真新しいだけあり磨いた車体は艶々…残念ながら我が愛車では勝ち目無し

ふと…愛車の屋根から何やら粉のようなものがサラサラと…
んん？何だ？？

指につけると……
黒く広がる
これは……煤……！？

どこかで焼却してんのか？しかし今は野焼きまがいの事は出来ないはず？
周囲に煙が出ている場所はない……
違法に物を燃やしている人はいないが………はて？

異変はベンツにも！
拭き取り中のベンツのおんちゃんも気がついた

あ！？何だこれ！？煤かぁ！！？

私はハッとした！バックドアが高々と上がっている
すぐ閉めて車内を見る
するとインパネ上部には
黒い細かな物がちりばめられていた！

くそ！

拭き取るとタオルは黒く跡がつく
インパネならいい
バックドアの内装部にも付着…私は不用意に触れてしまった！

そこは少し見栄えがいいような内装になっている しかも白系統！
黒い筋がついてしまった！表面がフェルトのような感じなので ひとたび汚れると落とすのは至難の技なのである
っつうか無理だな……

頭にきたが出所がわからない…

ゴウンゴウンと低音が響く……
うんん？
あれは屋外据え置き型の大型業務用発電機？
上には排気口 稼働しているから熱が放射されているな…

ピンときたよ
あれだ！
作業している人がいる

グオルアア！！何やらかしてくれてんだぁぁ！
せっかく洗ったのもパーだろうがぁぁぁ！！
お前の金で洗い直せぇぇ！

と私は絶叫！


する訳もなく これ以上煤が飛んで来ないように
すごすごと退散した

幸い塗装面をサラサラと滑る感じだったので
そこは助かった

私の顔や手は黒くなったが……