連休最終日、特に用があった訳でも無いのですが、流石にこれ以上引き籠り生活が続く事への危機感を感じて外に出ました。とは言え来週には再び三連休が待っており、休み明けは毎年平和なので通常の生活パターンに戻る為のリハビリと考えております。
自堕落となった身にはそう遠くに出掛けるのも億劫なので、普段行かない方向のモール内の書店を目指して往復20キロ弱のドライブとなりました。今や自ら書店に出向いて本を買うというアナログな行動を取る人も少なくなったと思いますが、私は書店の空気というものが好きなので最後の最後までアマゾンのお世話になりたくないという気持ちを持っております。
で、何冊か購入した中で自動車誌のENGINE最新号の中に、1987年式のジャガーXJ6で同じジャガーEタイプに会いに行くという記事がありました。
87年式というとシリーズⅢの直6最終モデルで、オースチンローバージャパンがインポーターだった頃の個体のようです。この個体を購入された経緯も詳細に書かれておりましたが、3オーナーで8万キロを走行した奇跡のような状態を保っている快調そのものの車で、初代のオーナーさんは雨の日は乗らずにエアコンの効いたガレージで保管していたという「箱入り娘」だったようです。
納車の時、セカンドオーナーさんから「初代オーナーからの申し送り状」というエンジンの掛け方や洗車の仕方などがビッシリ書かれた書類が渡され、最後は「これまで愛情を注いで来ました。これからも大切に扱って下さい」という言葉で締められていたそうですが、これほどまでの個体を購入出来るチャンスがあるのだなあと驚きました。
さて、昨日はアストンマーチンのお話でしたが、今日は昔のジャガーサルーンを考えてみます。
これまた当時の広告で「凝りに凝った足回りだから疲れない」とあります。
ジャガーと言えば「猫足」と呼ばれる足回りを持つ事で有名ですが、確かに相当な部品点数を駆使した足回りは今までも例を見ない程に凝った足回りだと思います。ただ厳密に言えばこの絶妙な足回りを実現する為に確信犯的にボディを緩くして車全体が撓るように設計されていたのが正解であり、その昔日産がこの足回りの動きだけをスーパーコンピューターで解析しても答えが出なかったのも理解出来ます。
これはかなり前に乗せて頂いた12気筒の最終モデルですが、前出の記事の車ほどではありませんが身元のハッキリした車で大きな故障も無く、素晴らしいコンディションを保っておりました。ただ個人的には鼻先が軽いほうが好みなのでエンジン重量が250キロ近くあるV12よりも直6がベストに感じましたが。
アストンの勇ましさに対してジャガーのサルーンは繊細で、アストンが軍服ならばジャガーはシルク混紡のカシミアのような軽く優しい風合いこそが身上であります。で、カシミアのセーターと同様に取り扱いにはそれなりに気を遣う必要があり、保管場所が屋内か屋外かで大きく状態が変わるのがジャガーです。これは2020年の最新モデルであっても同様に思います。
凝りに凝った足回りとV12エンジンの夥しい部品点数を人の作業で組み立てる訳ですから、やはり当たりとハズレが出るのは否めない部分であると思います。が、身元がハッキリしているキチンとメンテを施された個体であればそう壊れる事も無い車で、あとは良い主治医を見付ける事がこの車と長く付き合うコツでしょう。
ウチのはそれより約20年後の車になる訳ですが、流石に猫足はエアサスという文明の利器で再現するという方法を取りながらもキチンとクラシックジャガーのDNAを忠実に守っています。このクラスで一番低いシートポジションを持ち、シャープなハンドリングと踏み込めばクォーンと快音を発して回る高回転を得意とするエンジンなどはこの後の現行モデルにも生きています。
シリーズⅢのXJ6の20年後のXJ6は少し薄味になったものの、その代償として信頼性と耐久性というライバルと渡り合える要素を手に入れたのでしょう。このモデルもエアサスやアルミボディの修理にコストが掛かるようで最近は激減した感もありますが、今のところ不具合も皆無であります。
長かった連休の最終日、この空間に身を置くと明日からの日常がそれほど憂鬱に感じなくなると言ったら褒め過ぎでしょうか。
Posted at 2020/01/05 19:20:24 | |
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