先週末のお話。
私は基本的に何か用件が無い日は17時ジャストに会社を出ます。ただウチは遅くても19時には誰も居なくなるので残業は少ないほうだと思います。
そして先日も17時に退社しようと事務所を出ると、ウチの30歳代の主力営業氏が珍しく同じエレベーターに乗りました。
聞けばこれからお客様と会食で上野に向かうとの事なので、彼を私の車で上野まで送ることにしました。上野は会社から自宅までの通過点なので丁度都合の良い場所であります。
「初めて乗せて頂きます」とやや緊張の様子でしたが、まず目に入った時計に「インパネの時計がアナログなのは凄く良いですね」と感心しきりでありました。彼も時間で動く日常を送っているので、アナログのほうが時間を読みやすいようです。
大手町から上野まではあっという間に着きますが、「この車に乗っていると外からの視線が凄く気になります。信号待ちの時なんてガン見してる人が結構居ましたよ」と口に出しました。
乗っていると外観は目に入らないので失念しているものですが、ウチの奥さんなどはこれほど長く乗っていても待ち合わせの時等は「恥ずかしい」とそそくさと乗り込んで来ます。
一言に「目立つ」と言っても様々な目立つがある訳で、ベントレーもジャガーも意味は違えど目立つ存在である事は確かなのでしょう。他にも神宮外苑でマジョーラカラーの猛牛が爆音出しているのも悪性の目立ちたがり屋に間違いないのでしょう。(私的には侮蔑の対象ですが…)
この車を我が家に迎える時に担当セールス氏が「この車はかなり目立ちますので、悪戯には気を付けて下さい」と忠告してくれました。その忠告通りと言うか白昼の銀座で軽微な被害に遭った事はありましたが、今は一番長く置く自宅車庫にはシャッターがあり、会社の地下駐車場は恐らく日本中で一番のセキュリティレベルの高さなので安心しております。(それなりの賃料ですが…)
さて、改めて考えると些か手前味噌ではありますが素直にカッコいいと思います。優しい丸目から緩くアーチを描く波打つボンネットが長く続き、グラスエリアはコンパクトに纏めてリアウィンドウを寝せずに細いCピラーを立てる事でフォーマル性も持たせ、ロングドレスの裾を引き摺るようにリアは下げることで力感より品性を重視したデザインは歴代XJのアイコンとも言える秀逸なものと惚れ込んでおります。
リアの形状も昨今の空力優先のボディはクサビ型でリアを厚くするのが普通です。加えてデザイン的には前車を追い越した時にリアを見せつけてドヤ感を出すのがトレンドと聞きますが、その手法とは真逆に強く絞ったボディと慎ましやかなテールランプが実に綺麗です。この強い絞り込みにはステアリングが切れないのをカバーする意味もあったようで、デザインの為のデザインとは異なるようです。
このところ街で同じXJを見掛ける機会がめっきり少なくなりました。だから尚更自分の車のみならず走行中にすれ違ったXJや、みんカラでお友達の方々がアップした写真を見ても本当にカッコいいと思うのです。
正直に言えばこのモデルの前身であるX308までが持っていた長身痩躯のソクラテス的な味は薄くなった感もあります。それは安全対策やら居住空間の拡大やらで大型化された事も大いに関係あると思いますが、そこは当時親会社だったフォードの意向は北米を主戦場に捉えていた事が大きいのではと考えます。
ただその内容の充実ぶりは目を見張るものがあり、今までのジャガーのお得意様の多くはNGを出したようですが、他社ブランドから乗り換える敷居はかなり低くなったと思われます。事実私などもその乗換え組だった訳で、出来の良いセルシオやメルセデスから乗り換えても納得の運動性能はクラシックと最新テクノロジーの良い意味での妥協点というところでした。
そして2006年の10月に私が35歳の時に我が家にやってきた車は、2024年の52歳の今まで様々な佳き日も辛い日も共に過ごす事となりました。イタリア車の洗練は隙の無いほどに垢抜けたところにありますが、イギリス車の洗練はどこか素朴でややもすれば野暮ったさが内包された部分に魅力があるものです。それは強靭なフルアルミボディやエアサスペンションといった最新ギミックを搭載していてもどこかに人間臭さを感じる事が出来る唯一無二の不思議な存在です。
ウチの車は機械としてのアタリだった事もありますが、18年目を迎えた今も健康そのもので走り続けてくれています。ま、これから先は色々起こる事も想定されますが、ここまで来ればこのカッコいい相棒には走れる限り走って欲しいと切に願うばかりであります。
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2024/03/07 05:16:19