昨日の話にテラくんからコメントもらって、ABSってちょっと面白いな、と思ったので調べてみました。
あ、その前にお詫びなんですが昨日の「つつつー」はABS効いてない、ってことではなくて、ABS効いてるはずなのに「つつつー」と進んじゃった、ってことです^^;
一応「ABSって何ですか、というレベル」って部分で伝わるかと思ったのですが、読み返してみると確かにあの書き方では「ABS効いてない?」と思ってしまいますね。
すみませんでした。お仕置きが必要ですね(笑)
さて今日のお話は少しマニアックになるので(いつもだろー)、ABSのソレノイドバルブで減圧とか保持とかの話が分かる前提で書きますね^^;
よくABSって「タイヤがスリップしたときに作動する」って言われますが、そもそもタイヤのスリップはどうやって検知しているんでしょう?
ご存知のようにABS搭載車のホイールハブにはABS用の車速センサが取り付けられていて、タイヤの回転速度を読み取りコントロールユニットに送っています。
ところがタイヤはそもそも回転するものなので、スリップしているのかスリップしていないのかはそれだけでは分かりません。
例えば時速300kmで走っていて、いきなりタイヤの回転数が10rpmとかになれば、これは確実にスリップしているわけですけど、ゆっくりゆっくりカメのように進んでいるときにはタイヤの回転数が10rpmでもスリップはしていませんね。
そこのところ、どうやっているのかというとABSは「実際の車速」と「ABS車速センサから読み取った車速」を比較することで、両者の間に差があれば、それを「スリップしている」と判断してソレノイドバルブを駆動させます。
なるほど、それなら納得がいきます。
ところがところがちょっと待ってください。実際の車速?
…実際の車速?
僕はあほなので今まで考えたことありませんでした(汗)
タイヤがスリップしている状態で、実際の車速を計測する手段というのを、普通のクルマは持ちません!
ABSの車速センサ、ミッションの車速センサ、どちらも計測できませんね。
ナビのGPSくらいですか…ブレーキの制御するのにそんなもんアテに出来んわ(笑)
さて、それじゃーどうやってるの??って話です。
すでに知ってる方はここからの話はつまらないかもしれませんが、たぶん知らない方が多いと思うので面白いと思います(笑)
ABSと言っても全メーカーまったく同じ制御をしているわけじゃないと思いますけど、基本的には、やはりABS車速センサの信号を使うようです。
なんと「擬似車速」を作ります!
例えば4チャンネルの場合ですと4輪に車速センサがついているわけですが、4輪のうちいずれかの回転速度に差がある場合、「最も速度の高いもの」を「車体の速度」であると判断して、それを「擬似車速」とするわけです。
おおおーなるほど、って感じですね^^
ところがところが4輪いっぺんに滑ってしまった場合はどうでしょう。
4輪に回転差がないので擬似車速を作れません、擬似車速が作れなければスリップ判断が出来ません…。
では4輪がいっぺんに滑ってしまった場合はABSは効かないのか?
…という意味でテラくんからコメントが入ったのですが、そういうふうに考えるのも無理はありません。
というか普通そんなふうに思います。
ただ、低ミュー路では4輪いっぺんに滑って4輪が完全にロックするシチュエーションもありますので、そういうときにABSが作動しないのは危険ですから、作動しないわけはありません?
そこで調べてみたら、ふむー。
頭のいい人はいるものです、うまく妥協点を取っています。
結論から言うと「ABS車速センサからの信号で計算された減速Gが、あらかじめ設定された減速Gを上回った場合、スリップしていようがしていまいが問答無用で減圧する」というやり方をしているようです。
まず、氷の上を時速300kmで走ります。
ガツン!とブレーキを踏んで4輪を完全にロックさせます。
この状態では4輪のABSセンサが検知する回転速度が、どのタイヤも全てゼロです。
速度差がありませんので「最も高い車速を擬似車速とする」という条件は使えません。
ところで、ちょっと考えてみてください。
時速300kmで走っているところから、いきなりタイヤの回転がゼロになる、ということについて。
これ、「もしもスリップしていないとしたら」つまりF1マシンのタイヤを遥かに凌駕するような死ぬほどグリップするタイヤを履いていて(笑)実際にそういうブレーキングが出来たとしたら、このときの減速Gってものすごいことになりますよね。
時速300kmで壁に叩きつけられるのと同じ、人間じゃ耐えられない(笑)
いや、超サイヤ人なら耐えられるか?(笑)
いや、そんなタイヤ自体そもそも存在しないけど(笑)
そんなタイヤは存在しないので、時速300kmで走っているところからいきなりタイヤの回転がゼロになったとすると、そのときタイヤは必ずスリップしているはずです。
スリップしていないわけがありません。
なので、タイヤが「スリップしている」と判定します。
スリップしているので、ABSを介入させます。
擬似車速なんて知ったこっちゃないわけですね。
軽く死ねるくらいGが出てる計算になりますからそんなわけねーだろ!と。
絶対スリップしてるはずだからABSを介入、うん確かに。
僕がロードスターでタカスサーキットを走ったときのGPSロガーのデータで言うと、最大減速Gは大体1Gくらいです(ラプラスで読んだ値なので計算方法が違うソフトで読むと誤差出るかもしれません)
1Gくらいだと、実際ありえる値ですからABS介入には早すぎますね。
でもでもこの状態ってタイヤがロックする寸前です。
フルブレーキ中の「ある瞬間」をどこでもいいので切り取って、そのときのタイヤの回転速度が、実際の回転速度より少しでも遅かったら、タイヤはスリップしてるはずなんです。
まぁ厳密に言えば常に微妙にスリップ…ってそういう話はおいといて^^;
スリップしてないということは、ちゃんと1Gとなるような回転速度を保っているということ。
タイヤの回転がそれより低くなると、計算上は「1Gよりも強く減速している」ということになりますから、つまり計算上は1.2Gとか1.5Gとか2Gとか。
そこらへんの軽自動車が2Gも出せるわけないので(笑)、これはタイヤがスリップしているな、と。
あらかじめ設定された減速G……1.2Gか1.5Gか知りませんけど、それを超える計算になったときに問答無用でABSを作動させる。
なるほど、といった感じですね^^
減圧のために保持ソレノイドバルブと減圧ソレノイドバルブが駆動されると、制動されていたホイールが回転を始めます、減圧状態で保持された油圧を「つぎの瞬間にどのタイミングで増圧するか」が気になる方もいるかと思いますが、これはやはり「設定された減速Gになるような回転速度」を目標として定められていると思います(そこまで調べきれなかったので多分ですけど)
というわけでABSってこんなふうに制御してるって知らなかったー。
という話でした^^
ついでに食券卵用…じゃなくて職権濫用でGVBインプレッサのABSとかVDCとかの制御のあたり調べてたら結構面白かったです。
知らなかったんですけど、なんと制御用にGセンサとヨーレイトセンサを持ってます!
センタコンソールの下だそうです。
さらにステアリングアングルセンサとかの情報を加えて、ABSとセンターデフのアクチュエータでVDC制御するようです。
素直な挙動が持ち味のインプレッサとは言え、どんどん電子制御進んでますね…。
ABSだけじゃなかったんだ(おいおい。笑)
ちなみにですけど僕がこないだ2級整備士を取ったときの教科書にはABSの車輪速センサについて「車輪速度検出用ロータ」と「スピード・センサ」と書いてあります。
「ロータ」というと例のギザギザのやつで、これの回転をピックアップコイル式のセンサを使って読み取ります。
ところが最近の車ってこのギザギザついてませんよ…。
ハブの中に磁石みたいなのが埋め込んであって、N極とS極が交互に並んでいて、それをセンサが読み取るそうです。
よく知らないんですけどホンダ車のABS警告灯ついて泣きながら修理してたときに修理書に書いてありました(笑)
さらにちなみにですけど最近のABSって本当に優秀というか繊細で、ASBセンサが送る信号の異常を感知したとき、ただ単に「断線」とか「短絡」とかじゃなくて「ノイズ」とかまで検出します。
マジです。これマジです。お前どんだけ敏感やねん思春期の乙女か!
うそだと思ったらABSセンサのカプラをぶっ壊してから水入れて配線の中のほうまでしっかり腐食させてみてください。
コンピュータ繋ぐと「ABSセンサのノイズ」って出てきますから(涙)
さらにさらにちなみにですけど、今回の話の途中で、例え話として「いきなりタイヤの回転がゼロになったとき」と書きましたが、これ例えば実際に1輪だけいきなり(瞬間的に)ゼロになったりすると
フェイルセーフが働きます(苦笑)
クルマによってはミッションが1速固定になってお客さんから「いきなりスピード出なくなったんですけど何が悪いんですか!?」と聞かれます。
「リヤ右側のABSセンサが接触不良起こしてます」と即答してあげてください(笑)
うそですいろんな原因あるのでしっかり調べてからにしてください(笑)
無駄話でした(笑)