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aki@rsのブログ一覧

2014年10月28日 イイね!

ひとの資質

足回りの話を書いててすっかり忘れていましたが、1週間くらい前にディレッツァチャレンジの中日本エリア予選が行われたようです。
で、Bjくんがクラス2で当然のように優勝したみたいですね…こいつは~(笑)
レポートあったので読んでると結構面白かったです。
よく知りませんが今回クラス2は強豪ぞろいだったんですね、全国的なイベントですからどちらにしてもレベルは高くなってしまうんでしょう。

どんな世界でも、一番を取るのは難しいことだと思います。
まったく同じクルマで勝負するわけではありませんから、純粋に才能や努力だけを競うのかと言われたらそうでない面もあるかと思いますが、彼は僕のクルマで僕より2秒以上速いタイムをポンと出してしまう子なので、当然めちゃめちゃに速いです。
他人のクルマに初めて乗って、しかもたった1枠で、ですよ…あぁ!僕の立場が(笑)

Bjくんにしてもメカ沢くんにしても、いつも目標が高いので大口を叩いているように思われることがあるかもしれませんが、少なくとも僕の前ではとっても謙虚な良い子たちです。
現実的でないことを話していた記憶はないので、身の丈に合った目標に向かっていつも頑張っているように思います。
いばらない「謙虚さ」と、貪欲な「向上心」とは相反するものではなく、むしろ、とても相性の良いものです。
まっすぐに頑張る若い子たちはとても良いですね、僕の心はすでに真っ黒ですが(笑)

モータースポーツは才能さえあれば競技で勝ち上がることが出来ると思いますが、ある程度のところまでくると、やはり多かれ少なかれ知識が求められることになるようです。
どうしてもセッティングが絡んでくるからですね。
知識はどれほど身につけても損にはならないので、初心者でも上級者でも貪欲に学ぶべきだと思いますが、しかし知識をひけらかすようになると、これはいけません。
どんな知識も、過去の誰かの成果を元にして積み重ねられてきたものなので、自分ひとりで成し遂げたわけではありませんから、先人の皆さんに感謝して「なむー」とか言いながら謙虚に学んでいけると良いですね(笑)

インターネットで検索すると何でも出てくるので、若い頃の僕はそういったものを読んで「おれはこんなことも知ってるぞ!あんなことだって知ってるぞ!」と得意になっていた時期があったのですが、よく考えたら同じの読めば誰でも同じことを知ることが出来るので、別にそんなにすごいわけじゃないよなぁ、と思うようになりました。
ダークネス・オブ・ダークネスこと、真っ黒に濁りきった僕の心は「へーん!じゃあ知識なんていらねーよ!おれはドラテクですごくなって皆から褒めてもらうんだ」とかってサーキット走行に打ち込むようになったのですが、別にそんなに才能があるわけじゃないので、そのうちタイムが伸びなくなってくると「あぁ、所詮こんなもんかぁ…」と思ってしょんぼりするようになりました。

でも、どうしても自分で納得のいかない部分がいくつかあったので、とりあえず落ち込むのはそれを塗り潰してからにしようかと思って練習やお勉強に励んでいると、僕なんかは及びもつかないような高いレベルで真剣にサーキットアタックしている人達がいることを知る。
すると「そもそも落ち込むようなレベルですらなかったんだな(笑)」と思って気が楽になったので、練習もお勉強も素直に頑張れるようになりました。

もともと混走が苦手なので走行会やレースに出たことはないのですが、今まで自分が出来なかったことが出来るようになると楽しいし、今まで分からなかったことが分かるようになると楽しいです。
もう自分は完璧だからとか、たくさんいろんなことを知ってるからと、胸を張ってふんぞり返るのが必ずしも悪いこととは思いませんが、Bjくんとかメカ沢くんとか見てるとチョー速いのにまだまだ貪欲に「まだ自分はあれが出来ないから…」「もっとこんなふうに走れるようになりたい」とか言ってるので、たぶん追求しようと思うと終わりはないんだと思います。

というわけで、謙虚で向上心のある若い子達は素晴らしいので、見習いたいですねというお話でした。
ディレッツァチャレンジの決勝は11月29日だそうです。
また一番になれるかな?頑張れ若者(笑)
Posted at 2014/10/28 21:33:47 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2014年10月26日 イイね!

「ストロークの管理」続き プリロードについて

今日はプリロードのお話です。



ところで、ばね秤です。
ごく一部の方だけにしか伝わらないと思いますが、「新しくなりました。」(笑)
かわいいでしょ(笑)



あんまり重いものは測れないのですが、軽いものなら測れます。
試しに21mmのソケット(工具)を載せてみました。
写真が小さくて申し訳ないのですが、だいたい75gくらいのようです。
次からこのソケットのことは「75gの重り」と呼びます。



次に、ソケットにクイックスピンナ等の他の工具を接続します。
重くなりました。
やはり見にくくて申し訳ありませんが、だいたい215gくらいを指しています。
次から「215gの重り」と呼ぶことにします。



さて、ここで今回の主役の登場です。
ばね秤の右側に写っているのは、僕が20年くらいかけて制作した高性能プリロードかけ機「プリロードかけ男くん」です。
ウソです会社帰りにさっさと作りました。
ちなみに、かけ男くんの前世は高性能タマゴかけ機「ごはんにタマゴかけ男くん」だったそうです。
知らんがな!



使い方ですが、このように、上下で挟むようにして使います。
ねじ式になっているので、締め込めば締め込むほど、上下の間隔を狭く出来ます。



ところで、このときのばね秤の針は150g弱のところを指しています。
べつに150gの重りを載せたわけではないのですが、上下で挟んでいるので、150gを指します。
ねじをもっと締め込むと200gにも300gにも出来ますが、とりあえず今回は150g弱のところで固定しましょう。



単純に挟んでるだけなので、ばね秤のお皿を押さえればお皿が下がりますし、



離せば、もとの150g弱のところに戻ります。



215gの重りを載せれば、針は215gを指します。



ところが、ここで75gの重りを載せると、針は75gではなく150g弱のところを指しました。
75gの重りは150gよりも軽いので、こうなります。
プリロードかけ男くんがばね秤を挟み込んでいるので、150gよりも重いものを載せない限り、針は150g弱のところを指したままになります。



もう一度215gの重りを載せると、215gを指します。
ここで、この215gの重りを「ゆっくり載せる」ときのことを想像してみてください。
ゆっくり、ゆ~っくり、重りを載せます。
重りが秤のお皿に触れた瞬間は、まだ針は動きません。
重りを持つ手の力を少しくらい緩めても、まだ針は動きません。
さらに力を緩めると、150gくらいのところで、針がピクピクと動き出します。
やがて、少しずつお皿が沈み始めます。
そして重りを持つ手を完全に離したとき、お皿が沈み込むのが止まって、針は215gを指したところで止まります。
いいですよね。



さて、ここで「地面からお皿までの長さ(高さ)」を測ってみましょう。
またしても見にくくて申し訳ないのですが、重りを何も載せていないときは、約11.5cmです。



プリロードかけ男くんをセットすると、お皿が1cmくらい沈むので、10.5cmくらいになります。



ここで75gの重りを載せても、10.5cmです。
75gは150gよりも軽いので、お皿は沈みません。



215gの重りを載せると、お皿が沈んで、ちょうど10cmくらいになりました。



ところで、ここでメモ用紙を用意します。
厚みがちょうど1cmくらいあります。



1cmのメモ用紙の上に秤を載せました。
すると、最初は11.5cmの高さだったものが、12.5cmくらいになりました。
まぁ当たり前ですね。



プリロードをかけると、11.5cmくらい。



ここで75gの重りを載せても、変わらず11.5cmくらいですが、



215gの重りを載せると、ちょうど11cmくらいになります。
すべて、さっきより1cm高くなりました。
1cm「かさ上げ」してるわけですから、そうなりますね。














以上さほど難しくなかったかとは思いますが、プリロードの基本的な考え方です。
今度はこれをクルマに当てはめるとどうなるかを説明します。



ばね秤にプリロードをかける場合、写真の矢印の部分の長さが変わることでプリロードの大きさ(長さ)が変わりますが、



クルマのダンパの場合は、ここの長さを変えることでプリロードの大きさ(長さ)を調節します。
車高調はダンパケースにねじが切ってあるので、ロアシートを回すと、ロアシートが少しずつ上下に移動する仕組みです。
(ばねとダンパが別体式のものを除く)



実際にはばねがついているので、こんな感じです。
本来はこのようにばね付きのイラストで説明したほうが分かりやすいのですが、ばねのイラストを書くのは死ぬほど大変なので、もう二度と書きません(おいおい。笑)



ところでさきほどのダンパをそれぞれ実際のクルマに取り付けて1Gの荷重をかけたとき、ピストンロッドの沈み込みの差はこのようになります。
つまり、プリロードをかけた分だけロッドが上に上がる。
これは「沈み込む量が少なくなる」と言ってもいいですし、「伸びストロークが減る」と言ってもいいですし、「縮みストロークが増える」と言ってもいいでしょう。
前々回のお話を思い出しながら、伸び/縮みストロークがどのように変化したかを確認してください。
まぁどのように表現するかは別として、ともかく、図のような状態になります。



「底付きのしにくさ」のみに注目するとしたら、矢印の部分の長さ、つまり縮みストロークを見ると良いでしょう。
プリロードをかけると、縮みストロークが増えます。

何故そのようになるかと言うと、



例えばプリロードのない状態のばね秤に75gの重りを載せると、ばね秤のお皿は75gのぶんだけ「沈み込む」のですが、



プリロードをかけると、75gの重りを載せてもお皿は沈みません。

もちろん100gの重りを載せても沈みませんし、140gの重りを載せても沈まないのですが、150gを超える重りを載せたときに初めて、ちょっとだけ沈み始めます。

このとき、仮にプリロードがぴったり150gだったとすると、例えば160gの重りを載せたときは「10gぶんだけ沈む」。
180gの重りを載せたときは「30gぶんだけ沈む」ことになります。
分かりますよね。
なんだか分からなくなってきたら、この記事の最初のほうをもう一度読み直してみて下さい。













ところで、ばね秤の場合は「上から押さえつけるようにしてプリロードをかけている」のに対し、ごく一般的な車高調の場合は「下から押し上げるようにしてプリロードをかける」ような構造になっているのが普通です。
これは、ダンパケースにねじが切ってあり、ロアシートを回すことでプリロードをかけていくという構造なので、そうなります。

このとき、プリロードをかけると、車高が上がります。
ロアシートを上げると車高が上がるからです。
クルマの重さを支えているのはばねであり、ばねを支えているのはロアシートなので、ロアシートを持ち上げると車高が上がるわけですね。
つまり、ごく一般的な車高調の場合は「プリロードをかけると必然的に車高が上がる」となることが分かります。
プリロードをかけるにはロアシートを回して上に上げなきゃいけないので、ロアシート自体が持ち上がる、つまりロアシートの高さがかさ上げされると、車高が上がるというわけです。

ここで、ばね秤のお話をしていたときにお皿の高さを測っていたことを思い出して欲しいのですが、





上の2つは、どちらもお皿の高さが11.5cmです。
何もしていない状態のばね秤と、プリロードをかけた状態で1cmかさ上げしたばね秤。
ところが何もしていない状態のばね秤は重りを載せた瞬間からお皿が沈み始めるのに比べ、プリロードをかけた状態のばね秤は150gぶんだけ耐えてからお皿が沈み始めます。
プリロードをかけた150gぶんの違いがあるわけです。

その違いが沈み込みの差になり、沈み込みの差は伸びストロークの差になり、それは同時に縮みストロークの差にもなります。
長々と説明してきましたが、重要なのは「バネレートが同じでも、プリロードをかけることで、伸びストロークや縮みストロークの量が変わる」ということです。
プリロードを増やすと縮みストロークが増えますし、プリロードを減らすと縮みストロークが減ります。

例えば僕のクルマのリヤには10kgf/mmのバネが使われていますが、もともと純正のバネは2.5kgf/mmくらいです。
とても柔らかいですね。
本来なら柔らかいバネを使うと、伸びストロークの割合が多くなりすぎて縮みストロークが不足してしまい、すぐに底突きするようなサスペンションになってしまいます。
そこで、プリロードをかけてやることで縮みストロークを増やし、底突きを回避しているというわけです。
もちろんこのようなやり方も万能ではなくて、もしもロッドストロークに余裕がない場合、プリロードをかけすぎると伸びストロークが不足することで「伸びきり」が発生し、乗り心地や接地性に悪影響を与えてしまう結果になります。
だから「プリロードをかけさえすればいい」ということではなくて、伸びストロークがどのくらい残るかを考えながらプリロードの量を決めていきます。

プリロード量の計算は簡単で、10kgf/mmのバネを1mm縮めて組むと10kgfぶんのプリロードがかかります。
分かりますよね、10kgf/mmのバネというのは「1mm縮めるのに10kgfの荷重を必要とするバネ」ですから、1mm縮めれば10kgfのプリロードがかかるというわけです。
10kgf/mmのばねを5mm縮めて組むと、50kgfぶんのプリロードがかかります。
10mmだったら100kgfです。簡単ですね。

ばね秤の例では、約150gのプリロードがかかっていました。
150gの力は、ばねがお皿を上に押し上げようとする力として、また同時に、秤本体を下に押し下げようとする力として働きます。
そして「プリロードかけ男くん」とかいう訳の分からない鉄の棒がばねの伸びようとする力を押さえつけることで、150gの力とその応力とが釣合います。

ダンパの場合は、アッパーマウント~ピストンロッド~ダンパケース~ロアシートまでの構造物がばねを押さえつけることで、プリロードとその応力とが釣合います。

以上、かんたんにプリロードの説明をしました。
ここに書ききれていない要素もありますが、細かい諸事情に首を突っ込み出すとキリがないので、お勉強中の方はとりあえず「プリロードかけると伸び/縮みストロークが変わる」とだけ覚えてもらえばOKです。






さて、ここまで理解できると、ストロークの管理をする上での知識はぜんぶ理解したことになると思います。
車高を計算で出そうと思うとサスペンションレバー比の説明が必要だったり、最大ロール時にかかる荷重の把握をしようと思うとロールモーメントの説明が必要だったり、細かいことを言い出すとキリがないのですが、べつにストロークの管理をするのに必ずしもそんなの要らないと思うので、バッサリと割愛します。

というわけでストロークの管理のお話は今回で終わりなのですが、ダンパにまつわるお話のうち知っておいたほうが良さそうなものを次回以降2~3回に分けて書きます。
ただの無駄話ですから、基本的には今回まででお勉強は終了です。
お疲れ様でした。
自分のクルマの足回りに不満を持たれている方で、ロッドストロークが何mmあるか知らない、伸び/縮みのバランスがどれくらいなのか分からないという方は、対策を考えるよりも前にまずは計測してみてください。
計測した結果の数字を使わないと、正しい対策を検討することが出来ませんので、まずはそこからが第一歩です。
興味がなければ無理にとは言いませんが、少しでも興味があれば、ぜひぜひ^^
Posted at 2014/10/26 01:23:49 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2014年10月23日 イイね!

「ストロークの管理」続き 実例で感覚を掴む

ストロークの管理について、2回にわたり基本的な考え方と具体的な計算方法を書きました。
ざっくりとした理解は出来たと思いますが、このままだとすぐに忘れてしまうかもしれません。
いったん頭の中に出来たイメージを確かなものにするには、とにかく実例をたくさん見ていくのが一番の早道です。
「こういうときは、こっち側に余裕が欲しい」といったような、そういう感覚を身につけていきましょう。
とりあえず5つほど例を載せます。






<ケース1>

・分かっている数字
  ロッドストローク:105mm
  バンプストッパ長さ:5mm
  バネ部にかかる最大荷重:600kgf

・疑問(または課題)
  底突きしない範囲で、最も柔らかいバネを使いたい。バネレートは何kgf/mmがいい?

・考え方
バネ部にかかる最大荷重が600kgfなので、600kgfの荷重を受けても底突きしないことが前提となる。
ロッドが実際にストロークできる長さは 105 - 5 = 100mm なので、600kgfの荷重を受けたときに100mm以上ストロークしてしまうようでは、底突きしてしまうので都合が悪い。
そのため硬いバネを使って、あまりストロークしないように動きを抑える必要がある。

ここで例えば、5kgf/mmのバネを使おうと思うと、どうなるか。
5kgf/mmのバネということは、1mm縮めるために5kgfの荷重が必要ということだから、このバネが600kgfの荷重を受けたときには 600 ÷ 5 = 120 となって120mm縮むことになる。
ロッドは100mmまでしかストローク出来ないので、これでは残りの20mmぶん動こうとするエネルギーが衝撃として入力されてしまう。
ガツン!は嫌だ…ダンパが壊れちゃう。

となると600kgfの荷重を受けたときに、ちょうど100mmだけストロークするようなバネレートにすれば良い!ということが分かる。
600 ÷ 100 = 6 なので、つまり6kgf/mmのバネを使えば、600kgfの荷重を受けてもダンパはギリギリで底突きしない。
そうか、6kgf/mmを使えばいいんだ~。






<ケース2>

・分かっている数字
  ロッドストローク:105mm
  バンプストッパ長さ:5mm
  バネレート:8kgf/mm

・疑問(または課題)
  この仕様だと、一体どれくらいの荷重で底突きするんだろう?

・考え方
バネレート8kgf/mmのバネは、1mm縮めるために8kgfの荷重を必要とするバネなので、例えば10mm縮めるためには80kgfの荷重が必要。
ロッドが実際にストローク出来る長さは 105 - 5 = 100mmだから、バネが100mm縮むためには800kgfの荷重が必要ということになる。
つまりこの仕様だと800kgfの荷重で底突きする!
そっか、800kgfまでは大丈夫なんだな~。






<ケース3>

・分かっている数字
  ロッドストローク:90mm
  バンプラバー長さ:20mm(硬質ゴムであるとする)
  バネ部にかかる1G荷重:300kgf
  バネレート:5kgf/mm

・疑問(または課題)
  この仕様だと、伸び/縮みストロークはそれぞれ何mmになるのか知りたい。

・考え方
まずバネレート5kgf/mmということは、1mm縮めるために5kgfの荷重が必要ということだから、これを逆に言うと5kgfの荷重を受けたときに1mm縮むということ。
したがって300kgfの荷重を受けたときに何mm縮むかというと、300 ÷ 5 = 60 となって、60mm縮むということが分かる。

伸びストロークとは1Gの状態において「ここから伸びることの出来るストローク量」のことだから、「伸びストローク=1Gでバネが縮んだ長さ」と考えると、伸びストロークは60mm。
次に、縮みストローク(1Gの状態において、ここから縮むことの出来るストローク量)を求める。
まずロッドストロークが90mmあって、そのうちバンプラバーが20mmを占めているので、実際にストローク出来る長さは70mm。
70mmのうち、1G荷重で60mm使ってしまっているので、残りのストローク(つまり縮みストローク)は10mm。
したがって伸びストロークは60mm、縮みストロークは10mm。
おいおい縮みストロークが少ないなぁ…。
すぐ底突きしちゃいそう。






<ケース4>

・分かっている数字
  バンプラバー長さ:20mm(硬質ゴムであるとする)
  バネ部にかかる1G荷重:300kgf
  バネレート:5kgf/mm

・疑問(または課題)
  縮みストロークを40mmにしたい場合は、ロッドストロークが何mmの車高調を買うといいのかな?

・考え方
まずバネ部にかかる1G荷重が300kgfなので、1Gで5kgf/mmのバネが60mm縮む。
そこからさらに40mmのストロークを用意しなければいけないので、60 + 40 = 100mm のストロークが最低限、必要になる。
そのうえバンプラバーが20mmを占めているため、最終的に必要になるロッドストロークは 100 + 20 = 120mmとなる。
120mmのロッドストロークがある車高調を探さないといけないけど、あるのかな…?





<ケース5>

・分かっている数字
  ロッドストローク:100mm
  バネレート:8kgf/mm

・疑問(または課題)
  560kgfの荷重を受けても底突きしないようにするには、バンプラバー長さ(硬質ゴムであるとする)を何mmにするべきだろうか?

・考え方
まず8kgf/mmのバネが560kgfの荷重を受けると、バネは 560 ÷ 8 = 70mm 縮むことになる。
ロッドストロークが100mmなので、その差は 100 - 70 = 30mm。
したがってバンプラバー長さを30mmにすれば、560kgfの荷重を受けても底突きしない。
でも余裕を持って25mmにしとこか…(笑)





これ以外に、やりくりの方法として「プリロード」を使うやり方があります。
次回かんたんに説明します。
Posted at 2014/10/24 00:01:52 | コメント(1) | トラックバック(0) | 日記
2014年10月18日 イイね!

「ストロークの管理」続き 具体的な説明

足回りは難しいです。
でも、ストロークの管理は難しくありません。
ただしダンパの構造を知らないといまいちピンと来ない人が多いと思うので、ピンと来ないとイメージが湧かないと思うので、そのへんの具体的な説明をします。



こちらは僕が昔使っていたダンパです。
ロードスター用のリヤ側。
構造がシンプルで分かりやすいため、こちらを参考にします。



こちらは写真のものをイラストにして簡略化したものです。
すいません、バンプラバーとかマウントブッシュが抜けていますね。
不足を感じた方は脳内で補ってください(笑)



さて、バネやアッパーマウントはいらないので省きます。
ダンパだけにすると、こんな感じになります。
念のため名称を書いておきます。

ダンパ伸縮のgifアニメ

こちらはピストンロッドの上下動をアニメ化したものです。
分かりますよね。
gifアニメという方式を使っているのですが、見れない人いたらごめんなさい。



もっと分かりやすいように、ダンパをスケルトンにしてみました。
複筒式ダンパなのに構造が複筒式になってないのは大目に見てください。
説明で使うイラストはシンプルが一番!(笑)



で、これが半分くらい沈むとこんな感じで、



めいっぱい沈むとこんな感じです。
分かりますよね?話についてこれない人いますか?
ここまでは大丈夫ですよね。
ストロークの管理は難しくないので、ついてきてください。

さて、クルマがでこぼこ路面を走ると、上下にボヨンボヨンしますね。
クルマにはサスペンションがついているからです。
このとき、もしもサスペンションの可動範囲がすごく少なかったとすると、あまりクッションの役割を果たしてくれないので、乗り心地が悪くなってしまいます。
極端な場合は跳ねまくってしまい、コーナリング性能まで悪くなります。

というわけでサスペンションの可動範囲がとても大事なのですが、サスペンションの可動範囲はダンパーがどれだけ上下できるか(どれだけストローク出来るか)によって制限を受けるので、より良く動かすためにダンパーのストロークを管理しましょう、というのが今回のお話です。



ところで、ピストンロッドのうち、ダンパケースから出たり入ったりする部分をグレーで色付けしてみました。
この部分の長さは「ロッドストローク」とか呼ばれます。

この部分が長いとダンパケースも長くなるので、ダンパ全体が長くなり、そういうダンパを使う場合は結果的に車高を落としにくくなります。
でもこの部分が短いと、今度は底突きしやすくなるので、乗り心地の面で不利になります。
ストロークの管理だけで言うなら、車高は落ちなくてもいいので十分な長さを確保したいものです。

「この車高調はストロークを十分に確保してあります」と書いてある商品でも、ロッドストロークの数字は公表されてないものがほとんどです。
買ってから、測ってみたら絶句した、ということがあるので気をつけましょう(苦笑)

話を進めますね。
ダンパを車に取り付けてジャッキから下ろすと、バネと一緒にダンパも縮みます。
分かりますよね、車重がかかるので、クルマの重さで縮むんです。
それがどれくらい縮むかはクルマの重さやバネの硬さによりますが、ここでは分かりやすいようにちょうどロッドストロークの半分だけ縮んだとしましょうか。





ここで、半分より上の部分を緑色に塗ってみました。
緑色の部分は、「ここからさらに縮むことの出来るストローク」です。
「縮みストローク」とか言います。
例えばここが10cmだったとしたら、ダンパはあと10cmだけ縮むことが出来るってことです。

もしもここが2cmくらいしかなかったら、あと2cmくらいしか縮むことが出来ないことになります。
底突きスペシャルです。ガツン!ガツン!

そして、グレーが残った部分は「ここから伸びることの出来る長さ」です。
「伸びストローク」とか言います。
例えばボヨンボヨンってなってるとき、ボディが上方向に弾んでいる瞬間はダンパが伸びようとするわけですが、伸びストロークが10cmだとすると、ダンパはあと10cmだけ伸びることが出来ることになります。

伸び側の管理も奥が深いのですが、ここではバッサリと割愛することにして、とりあえず縮み側に焦点を当てて話を進めることにします。



さて、仮に縮み側が10cmあったとしても、実際のダンパにはバンプラバーという保護部品がついています。
きっちり10cm使えるわけではありません。



バンプラバーの分を、黄色で表すことにしましょう。

しかもバンプラバーは、潰れれば潰れるほど硬くなる、という性質を持ちます。
イメージ出来ますでしょうか、材質がゴムとかウレタンですから、ギューってやると硬くなるわけです。
硬かったらガツン!ガツン!と跳ねちゃいますね。
そういう領域は赤色で表すことにしましょう。



緑色は安全、黄色は注意、赤色は危険!といった感じですね。
バンプラバーを上手に使える人にとっては、黄色の部分をうまく活用できるかどうかがキーポイントとなるのですが、まだ勉強している最中の方はそういうことまで考えなくて大丈夫です。

ちなみに実際はバンプラバーはいきなり硬くなるわけじゃないので、グラデーションで表したほうがイメージしやすいかもしれません。
「潰れるにしたがってだんだん硬くなる」というイメージです。
いいですよね、わかりますね?



さて、せっかく色付けしておいて何ですが、この状態からもしもバネをダウンサスに交換したとすると、全体的に沈み込んでしまうので(=車高が下がる=ダウンする)、このようなバランスではなくなってしまいます。
伸びストロークが増える代わりに、縮みストロークが減ります。



伸びストローク、つまりグレーの部分が増えましたね。
そして縮みストローク、緑や黄色の部分が減ってしまいました。

そしてバネを純正より硬いものに交換したとすると、全体的に浮き上がります(=車高が上がる)
つまり縮みストロークが増える代わりに、伸びストロークが減ります。



縮みストローク、つまり緑の部分が増えました。
そして縮みストローク、つまりグレーの部分が減りました。

また、バネの硬さが同じでも、「プリロード」をかけると縮みストロークが増えて伸びストロークが減ります。
プリロードについても今回はバッサリと割愛します。



※混乱するといけないので念のため書いておきますが、グレーや緑、黄色、赤に塗っているのはあくまで説明のためであって、「この色に塗ってある部分はこういう意味がありますよ」ということです。
実際のダンパには色は塗ってありませんから、色の塗られていないピストンロッドを見ながら、自分の脳内で変換しながら考えられるようになっていけるとよいです。




そんなこんなで、例えば緑色の部分が少ないと、それは縮みストロークに余裕がないということなので、小さな段差でもすぐに底突きしてしまったりして、乗り心地サイアク!なんてことになります。
緑色の部分が多ければ多いほど、縮みストロークが長いことになり、段差などで大きな力が加わったときでも底突きまでにたっぷり余裕があるので、底突きしにくくなります。
ただし縮みストロークを増やすということは、そのぶん伸びストロークを減らすということです。
伸びストローク(グレーの部分)が短くなりすぎてしまうと、「伸びきり」というのが起こるので、これまた乗り心地は悪くなるのですが…。
まぁ、何事もバランスが大事ってことです。



ともかく、ロッドストロークが何cmか、バンプラバーの長さが何cmか、というのを測定することで、まずそのダンパが持つポテンシャルが分かります。
それから、どんなバネを使うか(あるいはどれくらいプリロードをかけるか)によって、伸び/縮みのバランスを調節します。
全体の長さが決まっている以上は、バランスをやりくりすることしか出来ません。

めちゃんこ硬いバネを使うと縮みストロークが増えて底突きしにくくなりますが、もともとのバネが硬いと、例え底突きしていなくてもガツンガツン!という乗り心地になってしまいます。
かと言って柔らかすぎるバネを使うと、縮みストロークが足りず、すぐに底突きしてしまうので、やはりガツンガツン!という乗り心地になります。
それでは一体どれくらいがちょうどいいのかというと、各部寸法を測ってから、荷重計算をしたうえで、ギリギリを満たすようなバネレートを算出すれば良い、ということになりますから、とにもかくにも計測が必要ということになります。
計測の重要性が分かってもらえたでしょうか。

そして、自分のクルマの足回りは、果たして縮みストロークがどれくらいあるのか?
そして伸びストロークはどれくらいなのか?
バンプラバーまでの余裕はどれくらい?
簡単に底突きしてしまうのか、そうでないのか?
それが気になり出したら、今回のお話がお役に立てたということです。
というか、気にして下さい(笑)
















さて、おさらいです。
ストロークを管理するというのがどういうことか分かると、もうダンパのイラストは必要ないと思うので、ロッドのストローク部分のみで説明します。
これだけ見て分かるようになってください。
これだけ見てイメージが湧くようになれば、もうほとんどストロークの管理は出来たようなものです。

グレーの部分は、車重で沈み込んだ領域(=伸びストローク)。
緑色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーに当たらない領域。
黄色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーに当たってはいるが、まだそれほど硬くない領域。
赤色の部分は、縮みストロークのうち、バンプラバーが縮みきってしまい、めちゃんこ硬くなってガツン!ガツン!ってなる領域です。



バネをダウンサスに交換すると、車重で沈み込む量が増えるので車高が下がります。
ただしそれはつまり、矢印で示した長さ=グレーの部分が増えることを意味しているので、結果として縮みストロークが減ります。
したがって底突きしやすくなります。



バネを硬くすると、車重で沈み込む量が減るので車高が上がります。
それは矢印で示した長さ=グレーの部分が減ることを意味しているので、結果として伸びストロークが減ります。
したがって伸びきりが起きやすくなります。



そのうえさらに、ロッドストローク自体が短かったりすると、全体的なストロークが減ってしまうので、縮みストロークも伸びストロークも不足しがちになります。
短くて余裕のない中で、なんとかバランスを取れるようにやりくりしなければいけませんが、やはり短すぎる場合はやりくりにも限界があるでしょう。
目的に応じて、最低限のロッドストロークは確保したいですね。

というわけで、ストロークの管理はこういうふうにします、というお話でした。
動いているところを想像しながら、イメージを膨らましてくださいね。



ダンパ伸縮のgifアニメ
















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最後におまけとして、具体的な数字を使った計算の仕方を紹介します。
計算まではしないよという方は無視してもらえばいいですし、やってみようかなという方は参考にして下さい。

バネの硬さはふつう、kgf/mm(または簡易的にkg/mm)という単位で表示され、2kgf/mmのバネだと柔らかいけど、10kgf/mmのバネだと結構硬いね、とかそういう感じで使われます。

2kgf/mm → バネを1mm縮めるのに2kgの重りを必要とする
10kgf/mmのバネ → バネを1mm縮めるのに10kgの重りを必要とする という感じです。

ところでロッドストロークが全部で何mmで、バネにかかる荷重がどれくらいかということが分かると、伸び/縮みのバランスを電卓で計算することが出来ます。
電卓使えれば誰でも出来ます。
バネにかかる荷重は、車検証の軸重を利用した計算でも大体の値を求めることが出来ますが、ロッドにタイラップを巻いて測定することも出来ます。
どっちにしてもロッドにタイラップは巻くことになりますし、どっちにしても正確な値は出せないので、とりあえずダストブーツは取り払ってロッドにタイラップを巻きます。



まずクルマをジャッキアップした状態で、ロッドにタイラップを巻きつけ、そのタイラップをロッドの一番根元(ダンパケース側)まで移動させます。
その後クルマをジャッキから下ろして1Gの車重をかけたのち、再びジャッキアップすると、タイラップがさっきの位置から移動しているので、いったい何cm移動したのかを定規などで測定します。
このときの長さが伸びストローク(=ダンパが縮んだ長さ=ブログ本文中でいうところのグレーの部分)になります。

例えばこの長さが6cmだったとして、このクルマに5kgf/mmのバネが使われていたとすると、「1mm縮めるのに5kg必要なバネを60mmも縮めた」ということになりますから、計算上、このバネには5×60=300kgfの荷重がかかったことになります。
そういう感じで「ここが何mmということは、ここには何kgfの荷重がかかっていて…」というふうに考えていきます。

さてこれは逆に言うと、5kgf/mmのバネに300kgfの荷重がかかったら、伸びストロークは6cmになるということです。
ここで、もしもロッドストロークが全部で10cmだとしたら、どうなるでしょうか。
ロッドストロークとは全体の長さです。
10cm引く6cmで、縮みストロークが4cmしか残らないことになりますね。
ちょっと心もとない…。
これでもしロッドストロークが全部で8cmしかなかったら、縮みストロークは2cmしか残らないので、かなり苦しいなぁ…、というような感じになります。
分かりますよね。

次に、大きな段差や小さな段差ではどれくらいの荷重がかかるか、底突きのしやすさはどうか、を考えます。

一般的に、そこそこ大きな段差を通過するときの衝撃は約2Gです。
静止状態(1G)で300kgfだと、2Gでは倍の600kgfですね。
600kgfの荷重を受けたときに、サスペンションのストロークはどれくらいになるか。
バンプラバーが完全に潰れきってしまうのか、少し余裕を残すことが出来るのか?

例えば現在僕が使っているリヤ側ダンパはロッドストローク105mmで、バネレートが10kgf/mmです。
ほぼ競技用なのでバンプラバーは入っていません。
その代わり樹脂製の5mmのバンプストッパが入っています。
バンプストッパに当たるときの荷重は計算上、1000kgfです。
105 - 5 × 10 = 1000 ですね。
600kgfなら当たりませんし、1000kgfを超える荷重がかかれば当たることになります。

ここでもしもバネレートが半分の5kgf/mmだったとすると、耐えられる荷重も半分、つまり500kgでバンプストッパに当ってしまいますね。
105 - 5 × 5 = 500
そこそこ大きな段差を超えると、モロにガツン!と来ることになります。
底突きを回避するためにはもう少し硬いバネを使いたいですね。

街乗りメインで乗る場合は、道路の段差などですご~く大きな衝撃が入るかもしれないので、瞬間的に大きな入力があってもダンパが壊れたりしないように、ちゃんとバンプラバーを使いたいところです。
一般道でかなり大きい段差を通過すると、3~5Gくらいの入力があるようです。

ところで同じ底突きするにしても、長くて弾力のあるバンプラバーと、短くてカチコチのバンプラバーでは、長くて弾力のあるほうが衝撃をふんわりと受け止めてくれます。
長くて弾力のあるバンプラバーを使おうと思ったら、当然そのぶんのスペースが必要になります。
長いわけですから。
つまりそのぶんの縮みストロークが追加で必要になるので、そういったことも考えながら、どんなバネを使おうかな、と考えていくことになります。
つまりバネというのは基本的に計算結果を参考にしながら選ぶものです。
(もちろん、上級者の場合はここで紹介した以外の要素も含めて考えますが、初心者の方はとりあえずこのくらいのところを理解できるように頑張って下さいね)




ストロークを管理するということは、大体、こういう感じの作業をするということです。
計算自体は、電卓が使えれば難しいことはありません。
慣れないうちは少しややこしく感じるかもしれませんが、特別難しいことをやるわけではありません。
試しに何度か自分で電卓叩いてみて、少し慣れればラクショーですので、興味ある方はぜひぜひ!
Posted at 2014/10/18 23:55:18 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記
2014年10月13日 イイね!

ストロークの管理

今日は幌っとОUTでツーリングをする予定になっていたところ、台風が直撃ということで中止になったのですが、昔の整備士講習のときのお仲間から連絡があり、久しぶりに集まって3人でいろんな話をしていました。
テラくんが足回りに不満があるようなので、少し書きます。
まー.さんも乗り心地の悪さを気にされていたので、ちょっと目を通して頂けるといいかなと思います。

足回りにはいろんな要素があって、僕もあらゆる全てを知っているわけではなく、僕は僕が知っていることしか知りません。
減衰力がどうとか、ブッシュがどうとか、バネの銘柄、プリロード、バンプラバー、スタビ、ストロークによるアライメント変化やコンプライアンスステア、ロールセンタ、もちろん車重バランスでも変わりますし、タイヤ特性やデフ特性まで含めると大変な話になってしまいますね。

でも、とりあえず足回りの話をするときは「ストロークの管理」。
これが最も基本的な事柄のうちのひとつであり、これが出来ていないと他の全てが完璧でも足回りは台無しです。
何はなくともストロークの管理から始めて欲しいなと、個人的には思います。
例えばテニスを上達するのに、サーブの練習やスマッシュの練習も大事かもしれませんが、まずスポーツの基礎として体力がないと話にならないので最低限の体力はつけましょう、というような感じ………ちょっと違うか(汗)

話をバネに絞りましょう。
バネはめちゃんこ硬いと乗り心地はめちゃんこ悪くなります、皆さん知ってますね。
ところが柔らかすぎても底突きするので乗り心地は悪くなります。
性能も落ちます。

硬いのは困るが柔らかすぎても困る、じゃあ問題の出ない範囲ギリギリまで柔らかくしてみましょうか、という話になったとき、一体どこまで柔らかくすればいいんですかと聞かれたら、それはクルマを見てみないと分かりません。
なので実測します。
足回りとしての有効ストロークが全部で何mmあって、1G荷重でストロークを何mm使っていて、縮みストロークのうちバンプラバーが何mm占めているか。
小さな段差と大きな段差のそれぞれで、どれだけのストロークを使っているか。
バンプラバーは長くて柔らかいのか短くて硬いのか、長くて柔らかい場合はどれくらいの荷重でどれくらいの硬さになるのかも重要です(ざっくりで構いません)。
バンプラバーはバネの一種ですから、長いものはバネとして考えます。

こういった「ストロークの現状」が分からない場合、足回りに手をつけていく上で「多分こうしたほうがいいんじゃないかな」「こうすると良いって誰かが言ってたよ」という曖昧な話になるので、いつまで経っても不満の原因がはっきりしません。
部品を交換するにしろ、しないにしろ、調整で済ますにしろ、何はなくとも現在の状態をはっきりさせるところから始めたいです。
現在の状態が分からないのでは、正しい解決策を検討することさえ出来ません。

「先生、わたし、痩せたいんです」
「ではダイエットを始めましょうか」
「半年くらい前から、こういうダイエットをしてるんです」
「そうなんですか。効果はありましたか?」
「よく分かりません」
「何kg痩せましたか?」
「分かりません」
「………。失礼ですが、現在の体重は何kgですか?」
「測ってないので分かりません」

これでは話にならないので、まずは測って、対策をして、再び測って、どうなったかを確認します。
乗り心地を優先するのか、サーキットでのタイムを優先するのか、その中間くらいを狙うのかは、出てきた数字を見ながら決めていきます。
使うバネが何kg/mmだから乗り心地がいい、とは一概に言えないので、ストロークを管理します。
ストローク可能な上限を確認してから、最大荷重を設定し、使うバネのレートやプリロード量などを決めていきます。
ストロークの管理が完全であるにも関わらず、問題が解決できない場合に限り、次のステップに移りましょう。

例えばコーナリング速度の高低を評価する場合はロガーで実測することになりますが、乗り心地を評価する場合は評価する際の路面を決めておくことも大事です。
身の回りで最も不快に感じる道路の、最も不快に感じる場所をいくつか覚えておき、対策前と対策後でどう変わったかを判断します。
場合によってはストロークしすぎても不快に感じることがあるので、いろんな条件との兼ね合いで仕様を決めていかなければなりません、そのときに具体的な数字が分からないと決めようがありません。

クルマの挙動にはいろんな要素があり、足回りにもいろんな要素がありますが、とりあえず「ストロークの管理」をしたいですね。
現在、足回りがどんな状態なのかを知ることから始めます。
そのためには、まずは実測です。

車高調のスペック欄にピストンロッドのストローク量が書いてない、全長も書いてない、という不思議な業界ですので、コイルスプリングの硬さだけで足回りを判断してしまいがちなのが一般的な実情ではないかと思います。
YZスポーツさんなどは、数字に出来るものは大概公表してくれていますから、親切ですね。
他のメーカーさんも見習って欲しいものです。
でも「しなやか」って書いとけば何でも許されるみたいなので、やはり不思議な業界です。

とりあえず、足回りに不満があるときは最初にストロークの管理をしましょう、という話でした。

















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О西くんへ。
このブログでは、大体こんなこと書いてます。


摩擦円の怪

重心位置

新旧比較

ちょっと振り返る、そしてこれから

タイヤグリップと荷重の関係

重量配分とロール剛性配分とロールセンタ その1

クルマが走ってる最中のロールセンタ

アンチリフトジオメトリ

ロールステア

コンプライアンスステア

数字遊び

アシストスプリング

サーキットシミュレーションの考え方

減衰力とステア特性

知識の価値
Posted at 2014/10/13 21:12:59 | コメント(3) | トラックバック(0) | 日記

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2009/04/16 23:19:49
 

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