CDRアナリストの資格を取ってから分かったことなのですが、日本国内でEDR(イベント・データ・レコーダ)を搭載している車のうち、CDR(クラッシュ・データ・リトリーバル)でデータを読み取ることの出来る車種というのは想像していたよりも少ないようです。
自動車メーカーなら、自社が製造した車両のEDRの事故データを読み取ることが出来ます。
でもメーカー外部の一般企業がEDRの事故データを読み取ろうと思うと、現状、世界中でボッシュ社のCDRだけがそれを行える唯一のツールであり、そのCDRのサポート対象になっている車種かどうか?ということ次第で「その車の事故データを読み取ることが可能なのか」が実質的に決まってしまいます。
結果から言うと国産車の中でスズキ車とマツダ車に関しては、2024年3月現在、対応車種は一台もありません。
ホンダとダイハツはここ数年の間に発売されたごく一部の車種のみ対応しています。
ニッサンは2020年以降の車両から少しずつ対応車種が増えていくような状況で、スバルやミツビシなら2012年頃から対応車種が増え始めるので比較的対応車種は多いですね。
トヨタに関しては2000年~2002年頃から既に結構対応車種があるので、現在、国内を走っている車の多くは対応していると思われます。
CDRの対応車種についてはボッシュ本国のホームページに一覧が掲載されているので、以下、その調べ方を記載します。
残念ながらボッシュ日本法人のホームページには載ってません。
載せてよ…。
(1)まずGoogleなどの検索エンジンで「ボッシュ CDR ダウンロード」と検索します。
(2)「CDR Software Downloads | Bosch Diagnostics」というページが多分一番上に出てくると思うので、そのページを開きます。
出てきたページの中に「Supported Vehicle List」というのがあるので、こちらをクリックします。
(※PDFファイルなので保存することも出来ますが、CDRソフトウェアがバージョンアップされることで対応車種が増えていくので、対応車種を確認するときは常に最新バージョンのSupported Vehicle Listを見るようにしましょう!)
するとこんなファイルが表示されます。
表の各項目の説明については以下のとおりです。
「Year」…モデルイヤーのことであり、車検証の初年度登録とは違うので注意してください。その型式の車が製造された最初の年、と理解するといいと思います。ただし厳密にその年がモデルイヤーになるわけではなくて、例えば2024年モデルの車が2023年末に発売されたりすることがあります。
「Make」…製造メーカーのことですが、厳密にはブランドです。例えばレクサスのCT200hはトヨタが作っていますがレクサスブランドのため、ToyotaではなくLexusのところを見ましょう。
「Model」…車種名のことです。日本での呼び名ではないので、例えばトヨタ・ヴィッツは海外での呼び名Yarisがそれに当たります。
「Module Supported」…EDRの事故データが記録されるモジュールにはACM(エアバック・コントロール・モジュール)のほかにFCM(フォワード・カメラ・モジュール)やPCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)などがありますが、そのうちどのモジュールに対応しているかがここに記載されます。
「Important Coverage Notes」…対応車種についての重要事項です。
「Market」…自動車は販売される国や地域によって仕様が変わるので、どの市場向けに作られた車が対応しているのか?がここに記載されます。「Where sold」であれば全世界対応であることを表します。
「Supported CDR Device」…CDRには「CDR900」というモデルと「CANplus」というモデルの2つの機種がありますが、そのうちどちらの機種がその車に対応しているのか?がここに記載されます。
気をつけて欲しいのは、まずモデルイヤー=初年度登録(年式)ではないということ。
あと車種名が日本での呼び名で記載されているとは限らないこと。
それから特に重要なのがマーケットがJapanもしくはWhere soldになっているかどうか。
また、CANplusでしか対応していない車種の場合も注意が必要で、CANplusという機種はなんと2024年現在すでに生産終了しています。
今後はCDR900のソフトウェア更新により対応車種が増えることでそれをカバーしていくものと思われますが、例えば2020年式日産セレナの事故データを読み出そうと思ったら現在はCANplusを所有している企業か日産自動車しかデータを読み出すことが出来ません。
頼むぜボッシュさん!生産終了する前にCDR900に対応させといてよ!
そんなわけでCDRの対応車種についてでした。
再度書きますが、Supported Vehicle ListはCDRソフトウェアのバージョンが更新されることで追加車種が増えたりするので、常に最新バージョンかどうか?を確認するようにしましょう!
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Posted at
2024/03/14 13:02:21