ぶらぶらで、希少車について考えていましたが、いずれにしろ希少車には手を出さない方が無難だなという結論に達しました。
まあ希少車にも大きく分けて二種類あって、かたや大量に出回った車が時間の経過と共にタマ数が減って希少車になったもの、かたや最初から限定車として数量限定や販売期間限定で売られて、当初よりタマ数の少なくて希少車になったもの。
前者は作られてから時間が経過しているのでパーツの欠品が多かったり、次から次へとあちらこちらと不具合が出てきてしょっちゅう修理に出していなければならない。後者はもともとのパーツのストックが少ないのと、限定車として希少性の高さを維持するために、意図的にパーツの価格を引き上げて偽物の限定車を作らせないようにしている。そんな訳でパーツは出てこないし、出てきても価格は高いし、パーツを再生産してもらうとやたらと時間がかかるという問題がある。
私のようにへんてこりんなクルマが好きだったり、何のご縁かわからないがなんとか乗れてしまうコンディションの希少車にめぐり会う運命にある人は稀だろう。
スズキ・ジムニーJA11は20年選手で、いかにスズキの看板車といえども、もはやパーツの欠品が続発してアフターパーツに頼らざるを得ない場面が多々あるし、古いクルマは若い整備士は経験が乏しいので見られない。それで、新車当時に整備をオンタイムで整備を担当していた年輩の整備士の出番となるが、それらの人たちは現在は大抵上の立場になっている。ただ、古いクルマを好きだと言って大切に乗っていると、ディーラーの人には一発で顔とクルマを覚えてもらえるのがありがたい。また、ディーラーの人に喜ばれるしそのクルマを特別扱いとまでは言わないが大切にしてもらえるのが嬉しい。それはタイムマシンのように、若かった頃の自分に引き合わせてくれるからなのかもしれない。ちなみにこのJA11は5型まであって、私のは4型だ。この4型は製造期間がわずか11ヶ月たらずとJA11の中では一番短く、ほとんどはJA11-Vというバンタイプが買われていったので、4型の幌タイプの希少性は、JA11-Cの中でもかなり高いクルマだ。
次にセルシオだが、これは別に探していたわけでもなんでもないのだが、日本車の記念碑として一度所有してみたいと思っていたクルマだ。たまたまめぐり会ったのが1999年物の10周年記念車、14年選手だ。これもあちこちパーツを交換しなければならないのだが、パーツ在庫はまだそれほど心配なくても大丈夫だ。とりあえずあと二回車検をとって乗ったら、メルセデスベンツ秋田で、三代目メルセデスベンツEクラス(W211)ステーションワゴン 4マチック 左ハンドルにバトンタッチしていく予定だ。それまで大禍(たいか)なく乗っていけるだろう。セルシオのサイズがもう一回り小さく、四輪駆動であればと悔やまれてならない。やはり秋田では冬期積雪路を走ることを考えれば、私は四駆でなければ安心してクルマを運転することが出来ないのだ。
私の所有するクルマの中で最新が、2004年物のポルシェ911 40th アニバーサリーエディション、もう10年選手だ。こいつはポルシェ911生産開始から40周年を記念して、世界限定1963台生産され国内デリバリーがわずか50台という超希少車だ。現在この50台で、私が把握している個体は、ディーラー管理物件が3台でショップが2台。みんカラ内はおよそ3台。どうせ輸出業者によって国外流出しているだろうから、それが20台で国内生存台数が30台。事故で廃車になったり、事故車として走っているのが15台。残り15台で、飾って眺めてうっとりされているのが10台。まともに走っているのが、なんとわずか5台と信じられない個体数。飾って眺めてうっとりされているクルマは、積算走行距離が少なくともまともには走りませんから残念です。ポルシェこそ走ってなんぼのクルマだと思いますけれど。ディーラーでは、現在のアニバーサリーの買取価格はどんなに程度が良くても上限で200万円前後です。程度が悪ければ、いらないと言われます。専門の買取業者は不明ですが、売ったら国外流出の可能性は否めません。このクルマ、基本的には国内にパーツは無いと思って間違いありません。996からして望み薄なので、アニバーサリーはいわずもがなです。くせ者なのがフロントバンパーとフロントリップスポイラー。これは4Sと一緒。バンパーは確かターボとは微妙に違ったかもしれないけど、同じかもしれない。フィンの部分だけがターボ・4Sが未塗装なのに対して、ボディ同色のGTシルバーメタリック(カラーNo.:U2)に塗装されている。ちなみに996で4Sは後期型の2003・2004年モデルにしか存在しない。リップスポイラーはターボとは確実に別。そして、オリジナルは未塗装。塗装されたものは、オーナーが後から塗装したもの。サイドスカートは後期型996GT3と同じ。リアバンパーは後期型の996と同じ。もうどうしようもないのが三つ。刺激の少ないところから、リアの911のデカール。カタログモデルでは、後期型のシルバー塗装の物でも一万円しないが、アニバーサリーは、その数倍高い。カラークレスト ホイールキャップワンセットが、ふつうのカラークレスト ホイールキャップが4セット買えるほどの価格がする。あと決定版はポリッシュ仕上げの18インチ カレラホイールのガリ傷の修理・再塗装・研磨が一本ホイールがほとんど買えるだけの価格。ディーラーの人に言われます。それなら新しいのを揃えた方が、長い目で見てお得ですよ、と。まずはエクステリア修理でお財布の中身空っぽです。なので、カッコ悪いのを承知で最低限の外装修理で乗るしかありません。
次にインテリアです。もう終わっています。閉店です。オリジナルのインテリアパーツは国内在庫無し。本国在庫一部しか無し。さようなら。
ディーラーの人も知らない、新車で買った私だけが知っているインテリアの秘密。内装は、スペシャル インテリアカラーのナチュラルレザー。アルカンタラ・ダッシュボード・カーペットは、ダークグレー。樹脂パーツはブラック。ルーフの内張りは黒のアルカンタラ。内装のダークグレーは、黒に近いグレー、チャコールグレーなので、経年劣化で黒くなり、リアシートだけオリジナルの色が残りますから、皆さんリアシートが日焼けして白っぽくなって、経年劣化で黒ずんだところを見て内装ブラックと勘違いするようですね。ところが決定的な違いは、カタログモデルはスムースレザーなのに対して、アニバーサリーはパンチングレザーなのです。他のモデルでパンチングレザー内装を私は知りません。なので、内装のパーツは片っ端から出ない。出るのはフロアマットくらい。ですがこのフロアマット、どうせ汚れて黒くなるので、私はブラックの新品を買いました。実際のところダークグレーのフロアマットも出るかどうか怪しいところです。あとどうしようもないのがシフトノブ。ノブとシフトブーツが一体化してますから、ブーツの革が擦れたらシフトノブごと交換。ポルシェのディーラーでは、革の張替えはやってません。工賃込み10万円前後です。ステアリングホイールもスムースレザーとパンチングレザーを使ったダークグレーの特殊なものなので、パーツは無し。張替えもしていないので、ステアリングホイールをソックリアッセンブリー交換。ただし、パッドの部分はエアバッグと一体化してますから、そこだけ使いまわし。ステアリングホイールは工賃込みで20万円前後です。あと、シートもレザーの劣化、あんこのへたり等ありますが、すべてパーツ交換です。レザーの張替えはやってません。パーツ交換はシート一脚100万円前後です。二脚で200万円前後です。もう嫌になってきたでしょ。なのでディーラーには、シートの修理は高くつくので自分で専門の張替え業者さんにやってもらったらどうかとアドバイスされます。良心的です。ただ、張替えても椅子としての見栄えは取り戻せるでしょうが、シートとしてクルマのパーツの一つとしての機能は100%は回復しないでしょう。ポルシェの場合はそれでは困るのです。なのでシートは、レカロなんかのシートに付け替えた方がよっぽど安く上がります。かくして限定車を生きた状態で乗り続けようとすると、せっかくの限定車がどんどんと限定車から乖離(かいり・かけ離れること)していきます。ある意味限定車は『見た目命』の部分がありますから、限定車がどんどん限定車から乖離していくのを目の当たりにするのは、オーナーにとってはつらいものがあります。しかし、それ以上につらいのはポルシェファンかもしれません。自分だったらああするのに、こうするのにと歯がゆい思いをすることでしょう。しかし現実は違います。金銭的なハードルがあるのです。走りの機能を最優先したメンテナンスを心がけたら、後は目をつぶり限定車が限定車以外の得体のしれない何か違ったクルマに変化してゆく姿を直視するしかないのだと思います、そしてシートに座りドアを閉じたら胸いっぱい息を吸ってポルシェ911 40th アニバーサリーエディションの香りをかいで、新車当時の姿を思い浮かべてみるのです。
ポルシェ センターで、足回りをすべてポルシェ純正パーツでリフレッシュしたアニバーサリー。びっくりするほど高くつきましたが、走りは新車当時の姿を取り戻しました。
2004年物のポルシェ911 40th アニバーサリーエディションも、もう10年選手のクルマなので、これより先のモデルは、もう新し過ぎて最新の技術に私はついていけません。私の中の時計は2004年で止まったまま、前にすすめないでいます。希少車を手に入れたからと喜んでばかりはいられません。われわれ庶民の貧乏人は、クルマは走ってなんぼの走らせてなんぼ。飾って眺めてうっとりしていられるほどのお金はありません。走って、楽しんで、直しての繰り返し。それならば一般に出回っているふつうのカタログモデルで充分です。ゆめゆめ限定車に近づこうなどと思ってはいけません。それは私がサンドラ・ブロックと結婚したいと夢を見るようなものです。
私の結婚したい女性No.1、サンドラ・ブロック
流星に導かれ 出会いは夜のマリーナ
※ 杉山清貴とオメガトライブ
『2人の夏物語』より
Posted at 2013/08/29 06:00:06 | |
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